老犬と老人と

 
ダイスケを観ていると、犬も人間も年をとるとよく似てくる。

目が見えにくくなり、耳が聞こえにくくなる。
ダイスケは、目は割合によく見えているようだが、耳の方は随分遠くなった。
何かに集中している時に呼んでも聞こえない。
老人の勝手ツンボと言ったところ。

図々しいと言うか厚かましいと言うか、その辺は老人も老犬も同じ。
ジジタリアン、ババタリアン連中は通行人を無視して平然と立ち話をつづけるが、ダイスケも人間につつかれるまで人間に通路を譲らない。
 
老人の場合、つい先ほどの約束を忘れがちだが、ダイスケは違う。
散歩中に、お家に帰ったらチクワ(ダイスケの好物)をあげるからはよ帰ろう、と言い聞かせてウチへ帰ってくると、出されたドッグフードを見向きもせずチクワが出てくるのを待っている。
記憶力は衰えていないようだ。