侍の子は腹が減ってもひもじうない・・

 高校時代の同級生で、将来は江戸の軟派文学を専攻して女子学生を教えるんやと宣言しているのがいて、彼に連れられて文楽座の立見席へ何度か行った記憶がある。
その時に観たのか、私の祖母のクニヱばあさんに付き合わされた歌舞伎座で観たのか定かではないが、その演目に「先代萩」があった。
で、その「仙台萩」の有名な台詞が
侍の子は腹がへってもひもじうない・・
 
大東亜戦争敗戦後の食料不足でサツマイモのツルは勿論、タンポポやドングリもアク抜きして食べていた頃、
「お腹すいたあ、ハラヘッター。」
と言うと、シゲジロウじいさんがよく言った言葉が
「侍の子は腹が減ってもにもじうないんじゃ!。」
 
実は、空腹なのだが、何か食いたいと思わないからなのだ。
食欲が起きない言い訳に仙台萩の台詞を思い出したのかも知れない。