躾け教育

江田島教育 豊田穣 著 新人物往来社 を読んだが、本文よりも資料の方に惹かれた。
海軍兵学校教育方針 海軍兵学校校長 井上成美
「躾教育は元来家庭における子女の教育において、その言動につき善きを賞し、悪しきを戒め、連綿不断の是正によりて、良習慣を付与することに始まるなり。これを多人数を有する学校、軍隊において実施する場合は、方法において若干の相違を来すべきも「良習慣を付与す」との根本主旨においては、かわることなし。ただ相手の人数の多きがため、これが徹底には教官全部の不断の努力を必要とす。
躾は良習慣を付与するは本旨なり。従って罪を犯して刑に触れ、または規律に違反して懲罰を受くるがごとき、重大なる言動を対象とするはその本旨のあらず。日常の軽易なる言動において、微細の点につき、本人の気付かざる点を教示して、これを実行反復たらしむることを本旨とす。従って上長自らの言動が、部下の躾の標準となること必然なり。上長自ら気付かずして、平気にて犯しおるごとき言動につきては、部下を躾け得るはずなし。(原文は漢字カタカナ 以下 略)」
「軍隊」を「企業、団体」に置き換えると現在も立派に通用するし、躾けとは、こういうモノなんだ、と改めて思い知らされた次第です。