ゴロ君のお母さんと病院で




病院のリハビリ室で見覚えのある小柄なご婦人から声を掛けられた。
「ワンチャンをけやき通りで・・」そこまで聞いて思い出した。
「あ、ゴロ君のお母さん。」
ゴロ君が逝ったのは三年前の12月29日で16歳7ヶ月だったとか。
最後の一月は寝たきり状態だったので床擦れを防ぐために夫婦二人がかりでカラダの向きを変えられたそうな。
それにしてもシベリアンハスキーで16歳とはスゴい長寿犬だった。
お母さんの少し前をお母さんの歩くペースに合わせて道の左端をオトナシク散歩していたゴロ君が目に浮かんでくる。
セアラが香里ヶ丘の淑女なら、ゴロはけやき通りの紳士だった。
ゴロ君のお母さんがケータイを持つようになったのは、ゴロが散歩途中で倒れた時に家へ連絡するためだったとか・・